政府が電子攻撃機の導入を検討していると日経新聞が報じています(※)。
電子攻撃機について、見出しでは「電磁波で通信網無力化」と報じており、高空で核爆発を起こす電磁パルス攻撃を想起させますが、実際は主に電波妨害を行う機種です。
政府が想定しているのは米軍の「EA-18」と思われますが、この機体の主な任務は、戦闘機や攻撃機に随伴し、あるいは後方から、敵のレーダー網や電波を利用した対空火器を無力化して味方の攻撃を支援することです。
政府は、表面上は中国軍などからの攻撃に対し防衛目的に導入を検討しているようですが、敵地攻撃の際に必要不可欠の装備の一つです。
なぜならば、自国領内の防衛に際しては、艦艇や陸上施設、あるいは既に装備化している機動性に劣る輸送機などを改修した電子戦機から、電波妨害を行えるからです。
ただ、電子攻撃機は事実上、米国製のEA-18しか選択肢がありませんが、機密が多い電子戦の装備を米国がそっくりそのまま日本に供与するかは疑問です。
過去には、日本にF-15戦闘機を輸出するにあたり、電子戦の装備を外して供与した例があります。
また、EA-18は日本が装備する既存の機種と共通性があまりないため、導入や運用のコストが割高になる懸念もあります。
しかし、電子攻撃機は、空母と並んで日本の抑止力を高めると同時に、日本が地域の安全保障に積極的な役割を果たすために必要ではないでしょうか。
将来的には、既存の機体の改修など、国産化も視野に入れて、早期の装備化を図るべきと考えます。
いずれにせよ、政府が事実上の敵地攻撃能力の取得に向けて動いていることは評価できます。
敵地攻撃能力の取得を政策として、予てから訴えてきた幸福実現党の正しさが証明され、実際の政策に反映されつつある例がまた一つ増えました。
※:1月1日付日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25274060R31C17A2MM8000/