ローマ法王が日本の大学生と交流するイベントで、「日本人は、理想と深い可能性をもち、信仰心もあり働き者の国民だ」と述べたとのことです(※)。
毎年、お正月になると多くの人が初詣に行く様子を見ると、日本人の多くが薄っすらとした信仰心のようなものを持っていると言えるかもしれません。
しかし、本当の意味での信仰心となると人それぞれなのではないでしょうか。
さて、ここではローマ法王の言葉の後半部分について考えてみたいと思います。
それは「働き者の国民だ」という部分です。
確かに、日本人の仕事に対する責任感や誠実さは世界から評価されており、戦前戦後の海外移民や、戦後復興期の日本人の姿は正に働き者そのものです。
しかし、近年、政府が主導する働き方改革で目指している日本人の姿は、必ずしも働き者ではありません。
日本は、祝日の数が主要国中で最も多い数となっています。
そして、日本人は有給休暇を消化しないと言われていますが、祝日と実際に消化した有給休暇と合わせると、既に米国人よりも多い日数となっているとのことです。
そうした状況の中、政府は、残業の削減やプレミアムフライデーなどを呼びかけて、更なる労働時間の短縮を図ろうとしていますし、いわゆるカジノ法も国民に遊興にふけることを推奨しているように見えます。
確かに、仕事の効率を上げて労働時間を短縮しても、今まで以上の成果を上げることができれば理想なのですが、実際は必ずしもそうはなっていません。
足元を見れば、2017年の日本の国際競争力は、昨年より1つ下がって9位とのことです。
中韓のサラリーマンにおいては、日本の高度成長期顔負けの猛烈な働きぶりも伝えられています。
また、日本の国際特許の出願件数は、中国に抜かれ、その数はどんどん引き離されつつあります。
「そんなに働くな」という政府の言葉を信じて、本当に日本を豊かで幸福な国へと導くことができるのでしょうか。
むしろ、日本の将来に危機感を感じる人も多いのではないでしょうか。
※:12月19日付朝日新聞https://www.asahi.com/articles/ASKDL4FS8KDLUHBI00L.html?iref=comtop_list_int_n03