中国が南シナ海で造成した人工島の軍事拠点化が着々と進行しています。
中国が当初主張していた漁民の保護施設や航路管理施設ではなく、明らかに空軍基地と海軍基地が出来上がりつつあります。
同時に、中国は南シナ海の海底に大規模な潜水艦探知網を張り巡らせる計画とのことです(※)。
この計画が完成すれば、米国などの潜水艦は南シナ海に容易に侵入することができなくなります。
中国としては、南シナ海を聖域化して、そこにSLBM搭載の戦略型原潜を配備することで、核攻撃能力を強化する狙いがあるものと見られます。
偵察衛星で事前に位置を把握することが困難な戦略型潜原潜は、核攻撃能力の切り札的存在です。
しかし、中国が接する黄海や東シナ海、それに南シナ海の中国側は、水深が比較的浅く、潜水艦が隠密行動をするには条件が不利です。
そこで中国は、比較的水深の深い南シナ海のフィリピンに近い領域を勢力下に治めようと、国際社会を欺いてまでも人工島を造成して軍事拠点化を進めているものと考えられます。
中国の戦略型原潜が自由に航行できる海域を確保できれば、中国の核攻撃能力は完成したとも言え、事実上、米国は核戦争をしてまでも中国と対立することはできなくなります。
それは、米国が日本に提供している核の傘がある意味で無力化することにも繋がります。
ですから中国による南シナ海の聖域化を阻止することが、日本の安全保障にとっても重要です。
そのために、日本は、フィリピンをはじめとした南シナ海の沿岸のASEAN諸国と軍事的にも密接な関係を構築することが重要となります。
同時に、万一に備えて、日本独自の核抑止力を最低限、確保する必要に迫られているのではないでしょうか。
※:12月15日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/171215/wor1712150001-n1.html