全国の病院全体の経営状況は、昨年度、4.2%の赤字となり、過去3番目の低さだったとのことです(※)。
こうした状況を受けて、日本医師会などによる診療報酬の値上げ圧力が強まるとの見方が出ています。
確かに、地方の公立病院の中には慢性的な赤字が続き、閉鎖や診療科の削減を余儀なくされて、地域医療が崩壊する懸念が生じています。
ですから、そうした病院の支援や経営体質の改善が急務となっています。
しかし、病院の経営が赤字だからと言って、単純に診療報酬の値上げすることには違和感を覚えます。
診療報酬の値上げは、社会保障費が更に膨らむことを意味しますし、同時に、利用者が支払う医療費の増大に繋がっていくはずです。
一般企業で言えば、「赤字体質が続くから、製品やサービスの値段を上げて、収入を増やそう」という発想です。
医療法人と一般法人は、その役割が違うので単純に比較できないという考えもありますが、病院がもっと経営感覚を高めて経営改善をするという発想をしてもよいのではないでしょうか。
その為には、医療分野に存在する様々な規制を見直して、競争原理が働くようにしていくべきです。
その結果、非営利組織であっても、マネジメントの観点から、無駄の改善やイノベーションが進み、経営改善につながっていきます。
医療分野は、とかく聖域と見なされがちですが、日本人の健康寿命を延ばしつつ、社会保障費を削減する方策を真剣に考えなければならない時に来ています。
※:11月8日付産経新聞http://www.sankei.com/life/news/171108/lif1711080036-n1.html