文科省の調査によれば、昨年度の小中高の学校内で起きた“いじめ認知件数”は、前年度に比べて約10万件増加し、32万件余りであったとのことです(※)。
これほどの大幅な増加の原因として、今まではいじめとしてカウントされなかった小さなものも、いじめと認識されるようになったことが考えられるとのことです。
しかし、その原因が事実であれば、そもそも調査の基準が前年度までと異なるため、実際のいじめ件数が増えたのか減ったのか比べることさえできない状態ということです。
ただし、32万件という数字からも分かる通り、いじめはまだまだ多いということは事実でしょう。
実際、昨年度の子供の自殺の数は244人と、平成に入ってから最悪だったとのことです。
いじめや子供の自殺の現状を踏まえれば、教育現場での効果的ないじめ対策の実施は急務であることが分かります。
こうした中で、安倍首相は、教育の無償化などにかかる財源として、2兆円規模の国家予算に加え、経済界に対し3千億円程度の追加負担を求めたいという考えを示しました。
安倍首相としては、早速、選挙公約の実行をアピールしたかったのかもしれません。
しかし、教育の無償化や費用負担の軽減策というものが、教育課題の最優先事項なのでしょうか。
経済的に困窮している世帯に対する教育費の無償化策や軽減策は既にあります。
そうした策をどこまで拡充するかという議論ならまだ理解できますが、2兆円以上もの予算を注ぎ込むのであれば、いじめ対策や教育の質の向上にこそ最大の予算を投下すべきではないでしょうか。
経済界にとしても本当に欲しいのは、質の高い教育を受けた優秀な人材の筈です。
政府による“一律の無償化”はバラマキ政策の最たるものであり、こうしたバラマキ政策は近い将来には国家を衰退させる原因になるものです。
※:10月26日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20171026/k10011198661000.html?utm_int=news-social_contents_list-items_068