先に安保理で合意された北朝鮮に対する経済制裁は、その効果の見極めに数カ月程度かかるとされます。
北朝鮮への経済制裁の成否は最大の貿易相手国である中国による部分が大きく、その効果は見通せません。
しかも、北朝鮮に強硬な姿勢を崩す兆候は見られず、制裁合意の直後にも、北海道上空を通過する弾道ミサイル発射訓練を実施しています。
今後、米国が経済制裁に効果が無いと判断すれば、米国に次なる手段はあるのでしょうか。
考えられる手段の1つは対話ですが、過去の北朝鮮との対話は国際社会が北朝鮮に騙され続けたと言えるものであり、トランプ大統領も認めている通り時間の無駄でした。
そして、考えられるもう1つ手段は軍事力の行使ですが、最大の懸念は、北朝鮮の反撃によりソウルを始めとした韓国側に甚大な被害が生じることであり、そのため実際には踏み切れないと考えられていました。
しかし、ここに来て米国のマティス国防長官が、ソウルを重大な危険にさらさずに実行できる軍事的な選択肢があるという認識を示しました(※)。
北朝鮮に対する牽制とも取れるこの発言は、具体的にどのような作戦かは分かりませんが注目に値します。
もしもマティス長官の発言が事実なら、米国が北朝鮮に対し軍事行動を起こすハードルが下がることを意味します。
更に、いくつかの世論調査によれば、米国内では北朝鮮に対する武力行使を容認する空気も存在します。
我が国も、朝鮮半島有事を想定した体制を整えておく必要がありますが、何よりも、金正恩委員長は、自国民を危険にさらす前に、北朝鮮を無血開城する決断を下すべき時に来ています。
※:9月19日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20170919/k10011147251000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_020