北朝鮮による今回の北海道上空を通過する弾道ミサイル発射を受けて、国際的に制裁強化の機運が高まっています。
これに対し中国は、「すでに証明されているが、圧力をかける制裁では問題を根本から解決することはできない」という見解を示しています(※)。
中国としては、「自分たちは国連の制裁決議を履行しているが、北朝鮮のミサイル開発は止まっていない」という立場のようです。
しかし、中国が実際に制裁決議を厳格に履行しているかは極めて疑わしい状況です。
北朝鮮の貿易実態は中国との間が約9割を占めていると言われており、中国は制裁決議に従う形で北朝鮮からの石炭の輸入を制限しているものの、例えば戦略物資として最も重要な石油の北朝鮮への輸出は止まっていないと見られています。
つまり、北朝鮮が路線変更を検討せざるを得ないような国際的な経済制裁は、実は行われていないと言えるのです。
ですから、これから国連の場で制裁強化の議論を行う際、中朝間の貿易実態を示して、中国に対しても確実に制裁を履行するよう、日本政府が主導して圧力をかけるべきではないでしょうか。
中国が本気で制裁を強化すれば、北朝鮮は立ち行かなくなることは明らかです。
中国がそれをしないということは、まだまだ北朝鮮を対米カードとして利用したい思惑があるからに他なりません。
※:8月29日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20170829/k10011117061000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_008