米海軍の駆逐艦「ジョン・S・マケイン」が、過日、シンガポール近海のマラッカ海峡でタンカーと衝突し、米艦の複数の乗員が行方不明になっています。
米海軍の同型の駆逐艦は、2ヶ月前にも静岡県沖でコンテナ船と衝突し、7名の乗員が死亡したばかりです。
米海軍の駆逐艦の相次ぐ衝突事故に、米軍の緩みを指摘する声が内外からあがっています。
特に中国の国営メディアは、「アジア近海を航行する船舶の妨げになっている」などとして米軍を批判しています(※)。
しかし、この批判は、「航行の自由作戦」を続ける米国に対する牽制であることは明らかです。
「航行の自由作戦」とは、国際法に反して人工島の周辺を自国の領海のごとく振る舞う中国に対して、その人工島の周辺を米艦が航行することで、領海として認めないという姿勢を示すために米軍などが行っている作戦のことです。
中国は、自国の主張を認めずに作戦を続ける米国を苦々しく思っていることは間違いありません。
今回の「ジョン・S・マケイン」も、「航行の自由作戦」に参加したばかりでした。
ただ、この「航行の自由作戦」は、米側にとって大きな緊張を強いられる作戦であることは間違いありません。
中国は、迎撃が困難と言われる対艦弾道ミサイルを配備しているとされますが、弾道ミサイル防衛能力がある「ジョン・S・マケイン」を作戦に参加させたのも、米軍が不測の事態に備えてのことと思われます。
今回の事故原因は明らかになっていませんが、北朝鮮だけではなく、こうした中国に対する警戒監視活動で、米軍側にも余裕が無くなっていることを表しているのではないでしょうか。
だとすれば、アジアの安全保障に日本がもっと貢献すべきであると考えます。
海上自衛隊も決して余裕があるわけではありませんが、日本も「航行の自由作戦」に参加したり、北朝鮮の弾道ミサイル防衛で米軍の肩代わりをしたりして、関与を深めるべきではないでしょうか。
※:8月23日付CNN日本版https://www.cnn.co.jp/world/35106177.html