日米の2プラス2会議で、日本側は地上配備型イージスシステム(イージス・アショア)を導入する方針であることを米側に伝えました。
これに対し米側は歓迎する意向を示したとのことです。
脅威が増す北朝鮮の弾道ミサイルに、日本の限られた予算で対処するために、カバーエリアが広く、既存のイージス護衛艦と共通性のあるイージス・アショアを導入するのは妥当な選択だと言えます。
これにより、日本の弾道ミサイル防衛体制は、イージス艦、イージス・アショア、PAC-3の三段構えになります。
一方で、一つの脅威に対処するために、複数の手段を持つことが軍事の常道です。
現在のイージスシステムは、弾道ミサイルの迎撃成功率が100%で無い上に、艦載のイージスシステムとイージス・アショアは、同じミサイル(SM-3)を使用します。
万一、敵国がSM-3をかわす手段を確立した場合、イージス艦、イージス・アショアも同時に無力化される恐れがあります。
PAC-3によるカバーエリアは狭いため、SM-3に依存している日本の弾道ミサイル防衛は脆弱と言わざるを得ません。
そこで、イージスとは異なるシステムであるTHAADの導入を検討する価値があると考えられます。
THAADで使用するレーダーは、イージスのレーダーとは異なり、Xバンドと言われる波長を使用しており、補足した目標をより詳細に分析できるとされています。
これは迎撃能力の向上のみならず、情報収集能力の向上ももたらします。
イージスシステムではロフテッド軌道への対処能力を強化した改良型の開発が進んでいますが、これらとTHAADが組み合わされれば、イージス、THAAD、PAC-3の文字通り三段構えとなります。
しかしながら、日本の防衛費には制約があり、高価なTHAADを簡単には導入できない事情があります。
来年度の防衛費は、0.8%の伸びと伝えられており増加傾向にあるものの、防衛費を現在の2倍規模にするには程遠い状況です。
日本の安全と平和を守るために、いよいよ防衛債の導入を検討しなければならないのではないでしょうか。