北朝鮮に対する経済制裁に関して、中国が欧米と足並みを揃える姿勢を見せている中で、ロシアと北朝鮮の間の貿易額が増えているとの報道があります。
特に、ロシアから北朝鮮に輸出される石油が増えており、実際は公表されている取引額の数倍に達するとの分析もあります。
石油製品は軍需物資そのものであり、国際的に北朝鮮への圧力が期待される中で、それに逆行するようなロシアを批判する声があります。
ただ、ロシアにしてみれば、クリミア問題に起因する欧米の経済制裁が続いている状況であり、苦しい経済運営が続いているという事実があります。
トランプ大統領の登場で米露関係が改善すると期待されましたが、ロシアゲート疑惑によりトランプ大統領は動けない状況にあります。
こうした状況に、外交カードの一つとして北朝鮮を利用したいという、ロシア外交の一端が垣間見えます。
しかし、実際の北朝鮮の貿易額は、中国との取引が全体の9割を占めているとの指摘があります。
これが事実であれば、ロシアがいくら貿易額を増やしたところで、中国に比べれば微々たるものです。
やはり北朝鮮に対する経済制裁が効果をあげるか否かは、中国の対応にかかっている状況に変わりはありません。
中国は国連の常任理事国として責任ある態度を取るべきであり、裏で北朝鮮を支えるようなやり方は大いに非難されるべきです。
その上で、日本をはじめ欧米諸国は、ロシアへの経済制裁を早急に見直し、ロシアを欧米側に引き入れて、北朝鮮問題を始めとした国際的な懸案を解決に導くよう努力すべきではないでしょうか。