ベトナムは、南沙諸島の排他的経済水域(EEZ)とされる海域での石油掘削作業を、中国の軍事的な圧力により中止した模様です(※)。
中国は、自らが実効支配する南沙諸島の人工島などからの石油掘削作業への攻撃をちらつかせたものと思われます。
これが事実なら、中国は南シナ海での力による支配を鮮明にしたことになり、南沙諸島を軍事拠点化しないとした習近平主席の言葉は嘘であることがはっきりしました。
ベトナムは、ベトナム戦争で米軍を撃退したと自負する強力な陸軍を擁していますが、それに比して海軍は貧弱なのが実情です。
過去には、南沙諸島周辺で何度も中国軍と軍事衝突を起こし、その度に実効支配していた島や岩礁を中国に奪われたという苦い歴史があります。
ベトナムも海軍力の近代化に力を注いでいますが、南シナ海での中国との戦力格差は開くばかりです。
3年前には、中国はベトナムのEEZ内で、ベトナムの反対を押し切って強圧的に石油掘削を行っています。
今回も、ベトナムは中国の力に屈した形となります。
中国はますます力による南シナ海の支配に自信をつけるのではないでしょうか。
ベトナムにしてみれば、中国は国連常任理事国なので、この問題の解決を国連に期待することはできません。
ベトナムは周辺国との連携を模索しており、日本に対する期待も大きくなっています。
よって、日本はその期待に応えるべく支援や軍事交流の一層の拡大を検討すべきではないでしょうか。
※:7月24日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/170724/wor1707240024-n1.html