今年4~6月期の空自によるスクランブル回数は、中国機に対する回数が半減し、ロシア機に対する回数が1.6倍となったとのことです(※)。
ロシア機は朝鮮半島情勢の緊迫化を受けて日本海に米空母が展開したことなどがあって日本の空域に接近する回数が増えた模様です。
一方で、中国機は回数が減っているとのことですが、だからと言って安心はできません。
なぜならば、日本に接近するロシア機は、情報収集が任務と思われる偵察機や情報収集機が主体で、概ね単機で飛行し、スクランブルした空自機に対する攻撃能力はほとんどありません。
一方、中国機は、同じく偵察任務の情報収集機が単機で行動する場合もありますが、戦闘機が接近したり、爆撃機が編隊で接近したり、あるいは爆撃機の編隊に護衛の戦闘機が随伴していたりする場合があります。
そうした中国の戦闘機の中には、実弾か模擬弾か判別が困難であるものや空対空ミサイルを懸架している機体もあります。
空自機は如何なる場合も先に攻撃することはありませんが、中国機はそうした自衛隊側の事情を認識して、挑発的な行動をとることがあると言われています。
特に中国軍は過去の例からも必ずしも統制がとれているとは言えないので何が起こるか分かりません。
ですから中国軍機に対しスクランブル発進する自衛隊機はまさに命懸けということです。
日本政府は、そうした自衛隊員を守るためにも、スクランブル発進する自衛隊機の法的根拠をよりはっきりさせるとともに、装備の面でもより充実させる必要があると考えます。
※:7月14日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/national/20170714-OYT1T50074.html?from=ytop_ylist