北朝鮮が4日に発射した弾道ミサイルは、米国のアラスカ州に届く能力があると見られていますが、米国の西海岸や東海岸までを射程に収めるまでには、もう1年から2年程度かかると見られています。
予想以上に速いペースで開発が進んでいますが、北朝鮮が開発を完了するまでに、米国は具体的な行動を起こすかもしれません。
一方、日本にとってみれば、北朝鮮が既に、初歩的な核弾頭を搭載できるペイロードを持ったICBM級の弾道ミサイルでロフテッド軌道により日本を攻撃できる能力を有している可能性が高いということを意味します。
ロフテッド軌道とは、射程距離を伸ばすことができる通常の軌道とは異なり、急角度で高高度まで到達する軌道のことで、射程距離は伸びませんが、迎撃が困難とされます。
先に政府は、日本の弾道ミサイル防衛体制を強化するために、地上配備型イージスシステム(イージスアショア)を導入する方向で検討しているとの報道がありましたが、イージスアショアは比較対象とされたTHAADシステムに比べて射的距離の長く、日本列島に2カ所配備することで全体をカバーできるので、コスト的にメリットがある判断した模様です。
しかし、イージスアショアはそもそも、同時多発的に弾道ミサイルを発射する飽和攻撃への対処能力に不安がある上に、ロフテッド軌道による攻撃を想定すると、迎撃ミサイルの発射基から離れた地点を攻撃されればされるほど迎撃が困難となり、日本列島に2カ所配備では足りなくなる恐れがあります。
イージスアショアを配備することに越したことはありませんが、弾道ミサイル防衛体制を今一度見直す必要があるのではないでしょうか。
同時に、自衛隊による敵地先制攻撃能力の取得もますます重要となっているではないでしょうか。