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2017/05/30【お決まりの“抗議”と“非難”でミサイル開発を止められるのか】

 北朝鮮は3週連続となる弾道ミサイル1発を日本海に向けて発射しました。
このミサイルは、短距離弾道ミサイル「スカッド」系列と見られ、約4百キロメートル飛翔して日本の排他的経済水域内に着弾した模様です。

 ミサイルが着弾したのは、漁船をはじめ多くの民間船が航行する水域ですが、北朝鮮は今回も事前の通告なしに発射を強行しました。
可能性は高くありませんが、そうした船舶に運悪くミサイルが当たれば、船員の生命に関わることとなります。

 国が国であれば宣戦布告とも取れる今回の弾道ミサイルの発射ですが、我が国の対応と言えば、お決まりの外交ルートを通じての北朝鮮への抗議と、国連での安保理召集と非難決議の発出程度となるのではないでしょうか。

 「今回、発射されたのは従来からある短距離弾道ミサイルであり、先のG7サミットなどへの牽制に過ぎないため、過剰にいちいち反応する必要はない」などとする声も聞きます。

 確かに、過剰に反応すればするほど北朝鮮の思う壺ですが、今回発射されたのは同じスカッドでも、スカッドを改良してICBMの一段目のロケットとした飛翔体の発射試験だったとの観測もあります。

 これが事実なら、国際社会が毎回ほとんど実効性の無い抗議や非難決議を発出している間に、北朝鮮はICBMの完成に向けて着々と実験を積み重ねていることになります。

 前日に北朝鮮が発射実験を報じた地対空ミサイルも、「垂直発射」とい比較的高度な技術が使われています。
即応性が求められる対空ミサイルの垂直発射では、ミサイルの速度が上がらない段階で姿勢を制御する必要があり、その段階では一般的な「翼」は使えないため、「サイドスラスター」や「ベクタードスラスト」などの特殊な技術が必要となります。
サイドスラスターは高空での制御にも応用できるため、弾道弾迎撃ミサイルに必要な構成要素の一つです。

 最も大切な弾頭の誘導技術は全く未知数ですが、北朝鮮のミサイル制御技術は一定の水準に達しつつあるようです。

 国際社会はこのまま、北朝鮮のミサイル開発断念に向けて実効性の伴わない対応をしていては、ますます脅威が高まることになります。