イタリアで開催されているG7サミットは、テロ対策や対北朝鮮問題などで意見の一致を見たものの、厳格な国境管理や保護主義的な経済政策の必要性を訴える米国と、その他の国々との間でどう折り合いをつけるかが課題となっています。
安倍首相にはトランプ大統領と他の首脳たちとの間を取り持つ役割が期待されていますが、安倍首相にはもう一つ重要な役割があると考えます。
それは、ロシアと欧米諸国との間を取り持つことです。
ロシアと欧米諸国はクリミア問題で対立し、ロシアは経済制裁を課されたうえ、G8から締め出されています。
しかし、ロシアは対テロ戦争を含むシリア問題や北朝鮮問題、それに中国の覇権を食い止める上でも、重要な役割を担うことのできる国です。
トランプ大統領の登場で米露の関係を改善する兆しが見えたものの、そのロシアとの関係でトランプ大統領は苦境に立たされつつあり思うに任せない状況です。
そうした中で、経済制裁の解除やロシアのG8への復帰の道筋をつけられるか、安倍首相の役割が期待されるところです。
安倍首相は、プーチン大統領と会談を重ね信頼関係を築いてきたと自負しているようですが、プーチン大統領自身は、日本が経済制裁に参加したことで本当に安倍首相を信頼していいのか疑心暗鬼のふしがあります。
現在、ロシアは経済的にも軍事的にも中国に近寄らざるを得ない状況ですが、ロシアをG7側に引き入れることは、日本の安全保障にとっても決定的に重要です。
今回のG7サミットで安倍首相が率先してロシアとの関係改善を図るならば、プーチン大統領の信頼を取り戻せるチャンスとなるのですが。