「MOAB」と呼ばれる米軍の大型爆弾がIS掃討作戦で初めて実戦使用されました。
MOABは、核兵器以外の爆弾の中で史上最も威力があるとされ、地上の広範囲を制圧できるだけでなく、一定深度の地下目標の破壊にも有効とされます。
北朝鮮は、米国などからの攻撃を考慮して、弾道ミサイルなどを地下に隠していると見られており、今回のMOABの使用が、北朝鮮に対しても牽制となることは間違いありません。
ただ、MOABは制空権下での使用が前提ですので、北朝鮮に対する先制攻撃には適していません。
実際に米軍が地下施設を攻撃するとなると、いわゆる「バンカーバスター」など爆撃機に搭載する地中貫通爆弾が選択肢の一つになります。
一方、自衛隊が敵地攻撃能力を持つとなると、先にシリア攻撃にも使用された巡航ミサイル「トマホーク」の導入が運用面でもスケジュール面でも有効です。
しかし、トマホークの地下施設攻撃能力は限定的で、先のシリア攻撃でも明らかになったように、厚さ1メートル程度のコンクリート製の掩体を貫通する程度と見られています。
自衛隊が敵地の弾道ミサイル発射設備を攻撃する場合、移動式の発射台の位置を如何に正確に把握するかがカギになりますし、把握できたとしても地下に隠されている場合、如何に有効な攻撃を実施できるかがカギになります。
ですから、そうした観点も踏まえて敵地攻撃能力が検討されることになると思われます。
いずれにしても、通常兵器による敵地攻撃能力は保有すべきと考えますが、敵地にある弾道ミサイル発射設備を全て破壊することは困難です。
従って、究極的には、抑止力としてバランスを保つために日本の核装備を検討しなければならないのではないでしょうか。