東芝は、子会社の米ウェスチングハウス社が連邦破産法の適用を申請したことから、その損失を含め最終赤字が1兆円を超えるとの見通しを明らかにしました。
ウェスチングハウスは原子力関連事業を中心とする会社ですが、原発に批判的な人などからは、東芝が福島第一原発の事故以降の原発に対する逆風を甘く見ていた結果との指摘もあります。
確かに、企業経営とは、結果責任を問われますので、その意味では、東芝側には逆風であり、言い逃れが出来ない状況ではあります。
しかし、資源の少ない国にとって原発は福島の事故以降も重要なインフラであり、福島の廃炉事業だけでなく、世界的にも原発の建設や廃炉作業の需要があることは確実です。
にもかかわらず、原発関連の高い技術力を持った会社は世界でも数える程しかありません。
ですから、高い技術力を持ったウェスチングハウスを東芝が買収したこと自体は、東芝の技術力を高める上でも意味があった経営判断と言えます。
折しも、ウェスチングハウスの破産法適用で、建設中の原発が宙に浮いた状態となった米国の電力会社の幹部が来日し、東芝に対し建設の継続を要請しているのです。
その幹部は、単純に経済的な側面だけでなく、民間企業でありながら国防の側面からも原発の必要性を訴えています(※)。
日本では、原発を国防の観点から論じる民間企業は少ないのですが、東芝は、原発によるエネルギーの供給に携わることで、日本のみならず世界の安全保障に寄与しているとの気概を持って頂きたいと切に願います。
日本を含む欧米の原子力関連企業が衰退するということは、すなわち中国の企業が力を持つことを意味します。
東芝には、是非とも再建を期待したいと思います。
※:3月30日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20170330/k10010931131000.html?utm_int=news-business_contents_news-main_004