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2017/03/18【“報道被害”への賠償は?】

 前橋地方裁判所は、福島第一原発の事故での東電と国の責任を認め、原告の群馬県に避難した人に対する賠償を命じる判決を言い渡しました。
前橋地裁の他に全国17都道府県で1万人以上が集団訴訟を起こしており、今後の裁判に影響を与える可能性があります。

 東電は既に避難した人に対し最大で1千5百万円近い賠償を行っていますが、今回の判決では、原告のうち62人に対して東電と国が合計3千8百万円余りの賠償をするよう命じました。

 また、賠償の対象となった62人の中には自主避難した人も含まれています。
自主的に避難を決めた人の判断は尊重すべきですし、避難をすると決めるに至った過程及び避難先で、多くの困難があったであろうことは察するに余りあると思います。
ただ、放射線防護の観点で科学的合理性が無い避難に対して、どこまで賠償するのか議論の余地は残ったままです。

 しかし、自主避難した人であっても精神的な苦痛を受けたことは事実ですが、そうした人が避難を決断した背景には、放射線に対する不安を煽った当時の報道の影響も大きかったのではないでしょうか。
当時の報道の中には、「福島にはもう人が住めない」とか、「数年後には何万人もの人が癌を発症する」などと言ったものがあり、まさに「風評被害」ならぬ「報道被害」といった状況でした。

 責任の一端はマスコミにもあるのですから、心あるマスコミならば不安を和らげるよう、福島の放射線の実態を正しく伝える努力をすべきではないでしょうか。