稲田防衛相は、衆議院予算委員会で、在沖縄米軍基地の自衛隊との共同使用について、「今後充実させるべき日米協力分野の一つだ」との認識を示しました(※)。
在日米軍施設の共同使用については以前から話があり、国土が狭い上に人口が過密な日本においては、自衛隊の運用の柔軟性を向上させる上で意味があると考えます。
今後、沖縄の負担軽減を図りつつ、必要な抑止力を確保する観点で検討する価値があるのではないでしょうか。
また、在沖縄米軍基地の共同使用には別の観点があります。
よく、沖縄の基地負担の大きさを示す言葉として「在日米軍基地の7割が沖縄に集中している」というフレーズがあります。
先の沖縄本島北部訓練場の返還で、74%が70%に減りましたが、約7割という数字に変わりはありません。
実は、この「7割」という数字の分母には、自衛隊と共同使用している本土の在日米軍厚木基地や三沢基地などの大きな施設は含まれていません。
ここ数年は、こうした指摘を受けて「在日米軍“専用施設”の7割」という表現を多く見かけるようになりましたが、実は、共同使用している施設を含めると、沖縄への集中度合いは3割に満たないとの指摘があります。
例え3割であったとしても、狭い沖縄県に対しての3割ですから沖縄の負担の大きさは相当なものですが、それでも7割が3割になるだけでイメージが少し変わるのではないでしょうか。
更に、在沖縄米軍基地を管理まで含めて共同使用することになれば、「在日米軍専用施設の7割」という言葉は使用できなくなります。
基地負担の大きさを誇張して、外患を招くようなことにならないよう、冷静に物事を見つめる必要があると考えます。
※:2月6日付産経新聞http://www.sankei.com/politics/news/170206/plt1702060036-n1.html