太平洋戦争当時、旧日本海軍の潜水艦が、クリスマスを理由に米本土攻撃を思い止まったという逸話が読売新聞で紹介されていました(※)。
米国は、近代になって世界各地で数多くの紛争に介入しているイメージがありますが、米国本土が外国の軍隊によって攻撃された例はほとんどありません。
その数少ない例の一つが、太平洋戦争時の旧日本軍による攻撃です。
潜水艦による米本土沿岸での商船などに対する通商破壊はドイツも実施しましたが、旧日本海軍の潜水艦は、艦載の水上機や火砲で陸上への攻撃も実施しています。
大戦末期の風船爆弾による攻撃を含め、旧日本軍による米本土陸上への攻撃の実際の戦果はたいしたことがありませんでしたが、それでも米本土が攻撃されたという米国民に与えた心理的インパクトは大きかったようです。
その潜水艦による米本土攻撃は、当時世界最高水準の性能を持つ旧日本海軍の潜水艦をもってしても米本土に近づく事すら難しい作戦でしたが、攻撃可能位置に
到達していながら、山本五十六長官の命によりクリスマス当日の攻撃が中止されたとのことです。
実際は連合国側にもそうした判断をした部隊司令官がいたのかもしれませんが、連合国軍がお正月やお盆を理由に日本への攻撃を思い止まったという話はあまり聞きません。
クリスマスが米国民にとってどのような意味合いを持つのか熟知していた山本長官らしい判断だったと言えるのではないでしょうか。
とかく旧日本軍や旧日本軍人は、極悪非道で野蛮だったと伝えられがちですが、実際は違います。
戦争を美化する気はありませんが、現実的な判断のもとで、武士道精神に則って戦った数多くの事実が残っています。
※:12月24日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/national/20161224-OYT1T50016.html?from=ytop_main9