中国軍の戦闘機など6機が、今月10日、沖縄本島と宮古島の間の空域を飛行しました。
中国は、尖閣諸島周辺での公船による領海侵入、日本周辺での軍艦の活動、そして今度は沖縄本島の目と鼻の先での戦闘機の飛行を常態化し、次々と既成事実を積み重ねています。
今回の中国軍機の飛行では、領空侵犯は無かったものの航空自衛隊機がスクランブル発進しました。
中国当局は、この自衛隊機のスクランブル発進に関し、「(自衛隊機が)近距離で妨害飛行を行い、妨害弾を作動させた」とした上で、「危険かつ未熟で、航行と飛行の自由を損なう」と主張しました(※)。
これに対し、防衛省は「特異な動きはなかった」としています。
しかし、中国の言う「妨害弾」の意味は不明ですが、赤外線などの光学誘導ミサイルから自衛のために使用する「フレア」だったとすると、自衛隊機が安易にフレアを放出するはずがないので、自衛隊機の接近に際し中国軍機が何らかの特異な機動などを行った可能性があります。
今回、飛行した中国軍の戦闘機は「Su-30」と報道されていますが、Su-30は電波を照射するレーダーではなく、近距離であれば攻撃のために光学的にもロックオンすることが可能とされています。
光学的にロックオンをされた場合、された側では把握できません。
中国軍機は、しっかりと統制のとれている自衛隊機が先に仕掛けてくることは無いと分かっています。
一方、自衛隊機にしてみれば、「危険かつ未熟」なのは中国軍のほうであり、自制が効かずに何をしてくるか分からないというのが本音でしょう。
ですから、中国軍機が少しでもおかしな動きをした場合、自衛隊機は念のためにフレアを放出することが考えられます。
今回のように中国は、「国際法と国際慣例に適合している」と称して、日本周辺での軍事活動を増やしてくることは容易に想像でき、いつ不測の事態が起こっても不思議ではありません。
これに対し自衛隊は、命懸けで任務にあたっているのです。
「駆け付け警護」も重要ですが、我が国の防衛のために自衛隊が活動しやすいように、必要な法制度や装備を整えておくことも、政治に求められる役割ではないでしょか。
※:12月10日付産経新聞http://www.sankei.com/politics/news/161210/plt1612100028-n1.html