政府の進める農業改革の柱としてJA全農の改革があります。
そのJA全農改革の具体策の柱として、政府はJA全農に対し、生産資材の販売価格を引き下げるため競争入札の導入などを求める実施計画を決定しました(※)。
確かに、日本農業の生産コストは高く、その要因の一つに農業生産資材が国際水準に比べて高いということがあります。
ですから、むしろ今まで競争入札が導入されていなかったということが驚きです。
しかし、日本の農政の本質的な問題点は、JA全農が生産資材の競争入札を導入していないことではありません。
歴代の自民党政権は、農業を手厚く保護してきました。
長年に渡って、何兆円もの国費を投入しておきながら、日本の農業が魅力ある産業として育っていませんし、食糧自給率もいっこうに向上していません。
日本の農政に必要なのは大胆な規制緩和です。
もちろん食糧安全保障の観点から一定の配慮は必要ですが、農業への参入の自由化や、農地の売買の自由化など、農業者の裁量で自由に経営が行える環境を整えるべきではないでしょうか。
規制緩和の過程で零細農家など影響を受ける人もいると思いますが、福祉政策の延長として農政を行うべきではありません。
その意味で、民進党が民主党政権時代に導入した所得補償政策は、やる気のある農家の意欲を削ぐような政策です。
自民党にも民進党にも、真の意味で農業改革は行えないのではないでしょうか。
※:11月29日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20161129/k10010788001000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_034