スイスでは、原発の閉鎖時期を早めることの是非を問う国民投票が行われ、反対多数で否決されました(※)。
スイスでは、将来的に原発を廃止することが既に決まっていますが、老朽化した原発はすぐにでも停止すべきとの意見があり、今回の国民投票となりました。
その結果、エネルギー安全保障の観点や、火力発電への依存による温暖化の懸念などから、約54%の人が反対に投票しました。
そもそも原発の是非が国民投票に相応しいのか議論の余地はありますが、結果的に現実的な判断に落ち着いたと言えるのではないでしょうか。
このスイス国民の判断は、日本にとっても参考になります。
エネルギーの問題は、単純に「現在供給ができているからそれでいい」という訳にはいかないという判断が大切です。
ただ、日本はスイスと地政学的要に異なる点があります。
それは遅れてきた帝国主義とも言われる中国の存在です。
核保有国でもある中国は覇権的拡張の意図を隠しませんが、もし日本が原発を止めてしまえば、日本は自国による潜在的な核抑止力を手放すことになります。
ですから、日本は、スイスと異なり、段階的な原発の停止政策もとるべきではありません。
我が国では、エネルギー安全保障だけではなく、核抑止力の確保と言う点も考慮して、原発政策を考える必要があります。
※:11月28日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20161128/k10010786461000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_019