日銀は、2%の物価目標の達成時期が2018年頃になるとの見通しを示しました。
日銀の黒田総裁は、就任当初、2%の物価目標を2年程度で達成できるとしていましたが、再三に渡って達成時期の見通しを先送りし、今回の見通しでは、黒田総裁の任期中の達成が困難という形になりました。
別の見方をすれば、ここでもアベノミクスの限界を露呈しているのではなかとも考えられます。
黒田総裁は、以前の記者会見で「消費税が予定通り2段階で上がった場合でも、経済が失速することはないし、その中で物価上昇率も徐々に高まっていくと思っている」と述べていました。
しかし、実際には、物価目標を達成できない要因の一つとして、消費税率が8%に上がったことで個人消費が伸びていないことが上げられます。
更には、政府は消費税率を10%に上げる時期を2度にわたって先延ばししていますが、「将来、消費増税が確実に行われる」と言うマインドが消費者心理に影響していることも一因となっているのではないでしょうか。
日本経済を活性化させる上で、アベノミクスの考え方は概ね正しいのですが、最大の過ちは消費増税の部分です。日銀がいくら大規模な金融緩和を行っても、政府が増税を行ってしまえば、効果が上がりません。
結局、アベノミクスは期待外れに終わってしまいかねませんが、それは経済を最大の論点としてきた安倍政権への風当たりが強まることを意味します。
よもや政府は、アベノミクスの失敗を日銀のせいにして、責任を黒田総裁に押し付けて、批判をかわそうとしていないか、注目して見ておく必要があります。