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2016/10/06【ドゥテルテ大統領とどう向き合うべきか】

 フィリピンのドゥテルテ大統領の暴言が止まりません。
ドゥテルテ氏が進める強権的な麻薬取締の手法を批判する米国のオバマ大統領に対し、ドゥテルテ氏は「地獄へ落ちろ」などと罵ったとのことです。

 これに関連してドゥテルテ氏は、米国との関係を見直し、中国やロシアと接近することに言及しました。

 ドゥテルテ氏は、麻薬に関連した取り締まりで容疑者を殺害することを警察に許可しており、これまでに無実の可能性のある容疑者を含め1,300以上が殺害されています。
こうしたフィリピンの状況を、オバマ氏は人権を尊重していないとして懸念を示している訳ですが、長年、麻薬で苦しんできたフィリピンで、ドゥテルテ氏が強権的な手法を導入したことでかつて無いほど麻薬取締での成果を上げていることも事実なので、ドゥテルテ氏としては余計なお節介と感じているのでしょう。

 確かに、人権の尊重は大切ですが、ドゥテルテ氏に対するオバマ政権の姿勢も少し慎重さに欠けるのではないでしょうか。
このままでは、ようやく再構築した米国とフィリピンの軍事的な関係が冷え込み、南シナ海での中国包囲網の一角が崩れてしまう恐れがあります。

 一方で中国は狡猾です。
中国は、ドゥテルテ氏の麻薬取締の手法に理解を示しており、この機に南シナ海での実効支配の既成事実化の度合いを一層高めようと狙っています。

 ドゥテルテ氏に人権の尊重を求めるのであれば、チベットやウイグルの例をあげるまでもなく、フィリピンとは比較にならないほど大規模な弾圧の続けている中国に対して、一段と強い姿勢で人権の尊重を求めるべきではないでしょうか。

 そのドゥテルテ氏は、今月末に訪日する予定です。
安倍首相は、ドゥテルテ氏に対して中国に接近することの危険性を諭すと共に、米国との間を取り持つことも必要ではないでしょうか。