中国は、道路や水路など交通インフラの強制的な軍事利用を定めた「国防交通法」の導入を決めました(※)。
中国は、自国を法治国家であるとしていますが、実際は人治国家であると見られているので、今回の法律の導入は形式的なものにすぎません。
道路の軍事利用については、物資の輸送だけではありません。
台湾や欧州などでは、高速道路を滑走路として利用する例が数多くあります。
一般に空港や航空基地は格好の攻撃目標であり、滑走路が破壊されてしまえば航空機の離着陸ができなくなります。
そこで、長大な道路網を滑走路の代わりに利用すれば、どこからでも航空機の離着陸ができるとの発想です。
実際は、路面の補強や道路の付帯設備の改修などが必要であるため、滑走路として利用できる道路区間は限られますが、高速道路を滑走路として利用できれば有事の際の航空機運用の柔軟性は高まります。
日本は比較的狭い国土に多数の滑走路が存在し、有事の際に旅客用の空港を利用できれば、道路の滑走路利用に近い効果が得られるかもしれませんが、国防を強化する上では、平時から商用インフラの軍事的な利用を検討しておくべきではないでしょうか。
その際、日本は本当の法治国家として、必要な法制度も整えておく必要があります。
※:9月3日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/160903/wor1609030054-n1.html