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2016/08/31【選挙と寡占有力地方紙との関係】

 新潟県の泉田知事が4期目となる次期知事選に出馬しないことを明らかにしました(※)。
最近まで出馬の意向を示していただけに周囲では驚きをもって受け取られています。

 出馬しないことを決めた理由は、新潟県が関与する第三セクター子会社の船舶購入トラブルを巡る地元有力紙の報道内容が一部事実と異なり、修正を求めても応じてもらえなかったため、今後、自身の訴えを正確に県民に届けることが難しいと判断したからとしています。

 一方、当の地元紙側は、報道内容は事実に基づいているとしており、どちらの主張が正しいのかは現時点では分かりません。

 ただ、泉田氏は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼動については、福島第一原発事故の総括ができていないうちは議論する段階に無いと繰り返しており、再稼動について県の同意が得られる見通しは全く立っていませんでしたから、新たな知事の決断如何によっては、再稼動の時期が早まるかもしれません。

 また、この地元紙は新潟県唯一のいわゆる全県紙であり、紙面では反原発のキャンペーンを展開しています。
泉田氏が、原発再稼動を議論する段階に無いとしているものの、明確に原発再稼動に反対と言う姿勢を示している訳なく、最近では、知事選もにらんで保守票を得るために一段と曖昧な姿勢を示していただけに、穿った見方をすれば様々な詮索が可能です。

 この地元新聞社からは、論説委員などを務めた複数のOBが、知事選や市長選に出馬しています。
自社の元有力社員が選挙に出馬して、自社の紙面でその選挙について本当に公正な報道が可能なのか疑問を持たずにはいられません。

 その地域で寡占状態にある新聞の報道内容は、その地域の世論形成に大きな影響を与えます。
今回の騒動は、寡占状態の地方新聞と選挙報道のあり方について考えさせられる一件になるかもしれません。

※:8月30日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/election/local/20160830-OYT1T50080.html?from=ytop_ylist