福井県知事が文科大臣に対し、高速増殖炉「もんじゅ」を含めた「核燃料サイクル政策」の推進について要請をしました(※)。
原子燃料サイクルとは、一度使った核燃料を再処理して再び核燃料としてリサイクルすることです。
核燃料をはじめとした資源の少ない日本にとって重要なエネルギー政策の一つであり、核廃棄物の削減に繋がる技術でもあります。
日本が開発中の「もんじゅ」は、「高速増殖炉」という名前からも分かる通り、原子炉を稼働させることで核燃料を増やすことができ、ある意味で夢の技術とも言えます。
その「もんじゅ」は、現在、度重なる事故や福島第一原発事故後の規制の強化などにより、運転禁止命令が出ており、再稼動の目途が立っていません。
「もんじゅ」の稼働は1994年で、稼働直後にナトリウム漏れ事故が発生し、休止状態が14年も続きました。
その後も、事故や点検漏れなどが明らかになり、多額の国費を投入しても商用運転までのスケジュールさえ描けない現状に、廃炉を求める声も上がっています。
しかし、原子炉政策を推進する中国をはじめとした国々では、高速増殖炉の実用化に向けた開発が進んでいるとされます。
仮に、日本が脱原発を推進する一方で、中国が原発政策を堅持し、高速増殖炉まで実用化したとなると、原発開発の中心が中国になってしまう日が来るかもしれません。
福島第一原発事故を経験した日本であるからこそ、世界一安全な原発を開発し、原子燃料サイクルも確立して世界に提供することで世界に貢献すべきではないでしょうか。
日本政府はブレずに「核燃料サイクル政策」を堅持し「もんじゅ」の再稼動を進めて頂きたいと考えます。
※:8月26日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/science/20160825-OYT1T50136.html?from=ytop_ylist