各省の29年度予算の概算要求が明らかになりつつありますが、防衛費は5兆1685億円と過去最大規模です(※)。
中国や北朝鮮の動向を踏まえれば、過去最大となるのは当然で、むしろもっと備えを強化すべきではないでしょうか。
内訳には、新たな装備品の開発費もいくつか盛り込まれており、高度化が進む中朝軍に対応するために必要な措置ですが、その開発や導入までのスピード感に不安を感じます。
例えば、離島防衛を想定した新たな地対艦ミサイルは平成35年度の配備を目指すものですし、「そうりゅう」型の次の潜水艦の建造も1番艦が33年度の導入です。
また、注目のレールガンの開発に至っては、具体的な目標導入時期すら伝わってきません。
現代の防衛装備品は、一般に高度な技術から成り立っており、その開発には多額の費用と長い期間を必要とします。
しかし、それにしても、中国の尖閣諸島に対する動きや、北朝鮮のミサイル開発の動きを見れば、日本の防衛装備品の開発や導入までのスケジュールでは遅いのです。
民間企業を含め我が国の防衛装備品の研究開発を担う組織は、世界の主要な国に比べれば規模が大きくありません。
一方で、防衛産業は、経済面で我が国の次世代の基幹産業としての潜在性を有するとともに、我が国の安全保障の根幹でもあります。
ですから、防衛産業により大きなリソースの集中が必要です。
そのためには、国防債を発行し官民共同のファンドを設立するなどして、幅広く一般から防衛関連の資金を調達することも考えるべきではないでしょうか。
※:8月19日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/160819/wor1608190014-n1.html