読売新聞に「臓器は丸ごと作れるのか」と題して、iPS細胞に関する記事がありました(※)。
記事によると、臓器を作れる可能性はあるものの、実際の医療への適用となると実現はまだまだ先のようです。
ただ、iPS細胞に限らず臓器を作り出すことができれば、「脳死」の問題も解決に繋がります。
現在、治癒の見込みがない病気のいくつかは、移植でしか助からない場合があります。
その場合、生体間の移植という手段を取ることもありますが、多くは脳死と判定されたドナーから必要な臓器が提供されることになります。
その脳死の判定を巡っては、様々な議論があります。
脳死は、心臓が動いていても脳の機能に回復の見込みが無くいずれ心臓も停止してしまう状態のことで、医学的に詳細な判定基準があります。
しかし、脳死と判断された患者が回復した事例も報告されていますし、脳死と判定された人が出産した事例も報告されていることからも分かる通り、脳死の状態の人間を「死体」とするには不合理なケースがありそうです。
移植医療を待つ患者やそのご家族の気持ちも理解できますし、患者を救いたいという医療関係者の思いも理解できます。
ですが、人間の生死を、唯物論に基づいて、人間が決めてしまうことには無理があるのではないでしょうか。
移植後の臓器は、患者の免疫作用を抑える治療が必要ですが、それでも原因不明の拒絶反応が生じる場合も多いようです。
こうした場合、人間は肉体と魂(霊)からできているという宗教的な見地から考えなければ説明がつきません。
やはり、人の生死に関しては、宗教が専門と言えます。
よって、医療の分野において、宗教的な見地から人間の生死を議論しないのであれば、脳死の定義の必要のない、再生医療による移植技術の確立が急がれます。
海外では、iPS細胞だけではなく、STAP細胞の可能性を示す研究成果が報告されています。
日本ではタブー視される傾向のSTAP細胞ですが、医療の未来を切り開くためにも、先入観を持たずにSTAP細胞の研究を進めてほしいと考えます。
※:8月19日付読売新聞https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160815-OYTET50070/