日本では、参院選で少し内向きになっている間に、世界では様々な動きがありました。
12日に国際仲裁裁判所は、南シナ海の大部分で中国が管轄権を有するという中国の主張を、「法的根拠がない」として認めませんでした。
そもそも中国が主張する「管轄権」なるものがどういう概念か不明ですし、中国が最大の拠り所としていた「歴史的に中国のもの」という考えも具体的な根拠があるとは言えません。
中国は、今回の仲裁裁判所の判断を「紙くず同然」として認めないとした上で、経済面などで繋がりの深い途上国を中心に、中国の立場に賛同するよう圧力を強めています。
日本政府をはじめ先進各国は、今回の仲裁裁判所の決定を受けて、ASEMの席などで南シナ海の問題を国際法に則り平和的に解決するよう中国に促していますが、中国は駄々っ子のように自らの主張を通そうとしています。
こうした中国に対し、国際社会は中国による南シナ海支配の既成事実化を防ぐ、有効な手立てを講じることができずにいます。
中国との間で軍事的な緊張を高めたくないとの思惑もあるでしょうし、経済面での影響を懸念してのことでしょう。
しかし、これが正義と言えるでしょうか。
中国は国連の常任理事国であるという立場を理解していないようですが、国際社会は、国際法を守らなければ具体的に不利益が生じるということを中国に示す必要があります。
現在は、仲裁裁判の決定に従わなかった場合の罰則等の規定はありませんが、中国によるこれほどあからさまな国連海洋法条約違反には、何らかのペナルティを課すことを検討すべきではないでしょうか。