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2016/06/18【“メルトダウン使うな”と指示した犯人は誰?】

 福島第一原発の事故を検証している東京電力の第三者委員会が報告書をまとめました。
その中で、東電がメルトダウン(炉心溶融)の可能性を事故後3日目には認識していたにもかかわらず、2か月後になってようやくメルトダウンを認めるに至ったのは、当時の東電の社長が官邸からの指示で「メルトダウン」という文言を使用しないよう社内に指示していたとする内容が盛り込まれています。

 当時はマスコミの多くが放射能による健康被害の可能性を煽っていた時期だけに、早々にメルトダウンを認めなかったことが無用な混乱を結果的に防ぐ効果があったとも言えますが、官邸からの指示が事実とすれば、当時の菅政権が重要な情報を国民に開示しなかったことになります。

 報告書では、官邸の誰の指示だったかは明らかにしておらず、第三者委員会は当時の官邸の関係者に事情を聴く権限が無かったとしています。

 これに対し当時の幹事長であった民進党の枝野氏は、そうした官邸からの指示を否定した上で、名誉棄損などで第三者委員会を提訴する姿勢を示しています。

 一方、菅元首相は、自身による指示を同じく否定したものの、「当時、官邸には、政治家や官僚それに東京電力からも人が常駐していた。
誰が指示を出したのかを明らかにしないで決めつけるのは、調査のしかたとして全く間違っている」として、菅氏や枝野氏以外の官邸の誰かが指示した可能性も匂わせています(※)。

 これが事実であれば、菅氏や枝野氏が把握しないまま官邸の誰かが重要な指示を出していたということであり、当時の首相と官房長官の統率力に問題があったと言わざるを得ません。
 

 また、菅元首相は、事故後、法的な根拠などが無いにもかかわらず、わざわざテレビのゴールデンタイムに記者会見を開き、稼働中の中部電力の浜岡原発を停止させました。この行為は、原発の危険性を煽り、原発に対する国民の不安を一層高めることになったのではないでしょうか。
 

 更に、当時の民主党政権時に発生した中国漁船の衝突事件では、逮捕した中国人船長の起訴を見送ったことに関し、民主党政権は、官邸からの指示は無かったとうそぶいた前科があります。
 

 こうしたことから、判断に一貫性が無く、責任を転嫁するような人物が率いる政権が、如何に亡国を招き寄せるかが分かります。
これは現在の政権においても当てはまるかもしれません。

 いずれにせよ今回の件では、東電の元社長や当時の官邸の関係者のいずれかが嘘をついていることになります。
うやむやにせず真相を究明する必要があります。

※:6月17日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20160617/k10010560141000.html?utm_int=news_contents_news-main_005