9日未明、中国軍のフリゲート艦1隻が、沖縄県の尖閣諸島を囲む接続水域に初めて侵入しました。
これまでも、中国海警局の船舶が同じ接続水域や領海に侵入を繰り返していましたが、今回は巡視船や非武装の情報収集艦といった類の艦船ではなく、実力行使が可能な艦艇が接続水域を航行したことで、中国の尖閣諸島領有に向けた動きは新たな段階に入りました。
今回の中国艦の動きは、同じ接続水域を通過したロシア軍艦艇を追尾する形を取りました。
中国としては、ロシア艦に対する警戒を口実にして、中国に管轄権があることを主張する狙いがあったと考えられます。
尖閣諸島の領有権に関与しないロシアの艦艇が尖閣諸島の接続水域を通過することは国際法上も問題はありませんが、広大な海域の中でわざわざ尖閣諸島の魚釣島と大正島の間を通過し、中国軍に接続水域侵入の口実を与えたことはロシア側にも何らかの政治的な意図を感じます。
ロシア艦は単純に帰投する最短ルートを航行したに過ぎないのかもしれませんが、仮に中露が連携して日本を牽制したのであれば、安倍外交の失敗と見ることができます。
中国は海洋での覇権拡大を明確に意図しています。
その範囲は、尖閣諸島や南シナ海の岩礁に留まらず、台湾や沖縄までも見据えています。
日本としては、自主防衛力を強化しつつ、米国との同盟強化も図らなければなりませんが、対中国でカギとなる国の一つがロシアであるということを忘れてはなりません。
米国がアジアから手を引いて中露が連携することが、日本にとっての最悪のシナリオです。
ロシアの立場に一定の理解を示しつつ、欧米との間を取り持つことこそが、日本が取るべき道だったのではないでしょうか。