オバマ大統領は、原爆被災地である広島を訪問し原爆慰霊碑に献花しました。
結局、原爆の投下に対する謝罪の言葉は無かったものの、現職の米国大統領として初めて被災地を訪問したことは、歴史的にも意義のあることと言えそうです。
オバマ大統領は、この訪問の際、所感という形でスピーチし、改めて「核無き世界を目指す」旨を表明しました。
これを受けて、遅々として進まない核兵器の廃絶が進展し、核戦争の危機が遠ざかることを期待する声が数多く上がっています。
確かに、核保有5ヶ国のうちで核兵器の大半を保有している米露の核削減は交渉次第で進展する可能性があります。
また、英仏は、既に最低限の水準を維持している状況です。
しかし、中国は、国際世論の求めに応じて核廃絶や核削減に応じることは考えられません。
中国は、現在も、核兵器の能力向上に余念がなく、その核戦力は年々増強されている状況です。
ですから、国際的な核削減機運の高まりは、相対的に中国の核戦力を高めることになります。
これは、軍を基盤としている一党独裁国家による核の脅威が高まることを意味します。
しかも、核兵器開発を続ける北朝鮮に対しても、国際社会は未だに実効性のある解決策を示せていません。
中国や北朝鮮の核開発を棚に上げて核削減を目指すことは、オバマ大統領のスピーチとは裏腹に、日本にとっては三たび核が使用される恐れが高まることに繋がります。
従って、米国が核戦力を縮小させるのであれば、現実には平和を守るために、日本は独自の抑止力を持つことを考えねばなりません。
【参考】:5月27日付幸福実現党プレスリリース「伊勢志摩サミット及びオバマ米大統領の広島訪問を受けて(党声明)」http://info.hr-party.jp/press-release/2016/5593/