南シナ海でベトナムの漁船が、中国のものとみられる国籍不明船に体当たりされ、転覆するという事件がありました(※)。
転覆した漁船の乗組員は、全員、別のベトナム漁船に救助されましたが、国籍不明船は救助を行わず立ち去ったとのことです。
この国籍不明船の行為はシーマンシップに悖るものです。
陸の上とは異なり海の上では、船の事故や海への転落は船員の生命に直結する事態であり、昔から国が違い例え敵同士であっても助け合うことが習わしとなっています。
先の大戦では、日本軍の艦艇が撃沈した敵艦の将兵を救助したことが度々ありましたし、賛否はあるものの、漂流している将兵の救助活動を行っている敵艦や敵機に目を瞑った日本軍の艦艇も多々ありました。
今回の件では、中国の船であることが事実であるならば、漁船に関連した中国の横暴は目に余るものがあります。
中国では、漁民は事実上、軍の配下にあり、海洋での主権を誇示する際に漁船を利用することがよくあります。
逆に言えば、自らの承認の無い他国の漁船の活動には容赦しないということです。
こうした中国の姿勢に呼応したかのような振る舞いを、政権交代間近の台湾の馬政権が日本に対して行っています。
馬総統は、沖ノ鳥島周辺の日本の排他的経済水域を認めないと主張し出しました。
今月、下野する親中の馬総統が、中国と距離をおく次期蔡政権に対して、圧力を掛けていると見ることができます。
蔡氏はこの件に関して、早期に処理したい意向を示していますが、日本側も中国の思惑に乗らず抑制的に対応する必要があります。
場合によっては、こうした事態を利用して、日本と台湾が国と国同士の立場で処理し、日本が台湾を国として認める姿勢を示すことも手ではないでしょうか。
※:5月5日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/160505/wor1605050041-n1.html