2016年度予算が、過日、可決されました。
一般会計の総額は過去最大となる96兆7千億円余りで、その中の防衛費は初めて5兆円を超えましたが、日本を取り巻く状況を鑑みて、国防強化のためには十分な額とは言えないものです。
今回計上された防衛費の中には新型の輸送機「C-2」の取得費用があります。
C-2は日本で開発された機体で、戦中を代表する大型機である「二式大艇」や「深山」、あるいは幻の大型機「富嶽」をも上回る日本最大の機体と言ってもいい大きさです。
このC-2は、短距離での離着陸が可能であるなど国情に合わせた設計がなされており、機動的な部隊展開に資すると共に、海外派遣などの任務でも活躍が期待されています。
日本では、戦後初の国産ジェット旅客機である「MRJ」の開発が進んでいますが、旅客機としては小型の機体に分類されます。
世界では、中大型の旅客機の市場は、ボーイング社とエアバス社にほぼ独占されている状態が続いています。
今後、MRJの事業が成功し、その先に日本が独占状態の中大型旅客機の市場にも風穴を開けることができれば、日本の航空機産業が基幹産業として成長できるはずです。
C-2は、中型の輸送機に分類されるものの、旅客機で言えば、「ボーイング787」や「エアバスA330」などの中型旅客機に匹敵する大きさです。
日本は、C-2で中大型機を開発できる能力を示したわけですから、C-2が日本の中大型旅客機市場への参入の足掛かりとなることに期待したいと思います。
安倍政権は、現在500兆円に満たない日本のGDPを、600兆円にする目標を掲げましたが、日本の潜在能力を過少評価しているのではないでしょうか。
航空宇宙産業は、未来の日本の基幹産業になり得ます。
日本のGDPを3倍にすべく、政府はもっと後押しすべきであると考えます。