台湾のホンハイ精密工業による買収は、当初提示されていた金額から1,000億円減額した3,888億円の出資で決着しました。
シャープは、日本国内の支援で再生を目指した産業革新機構の提案を蹴って、より出資額の多いホンハイをパートナーとして選んで交渉していただけに、驚きとともに、ホンハイ側に一本とられたという感じも拭えません。
ホンハイは、台湾企業でありながら中国との関係が深く、シャープに対する中国の影響力が強まることも予想されます。
また、白物家電を製造する東芝の子会社を、中国の大手家電メーカーである美的集団に売却することが決まりました。
当面は、東芝ブランドを使用して販売を継続するとのことですが、日本の家電メーカーがまた一つ中国企業の傘下に入ることになります。
中国の大手企業は、基本的に中国政府の影響下に無い会社はありません。
日本企業が中国企業と取引するだけでなく、日本人がどんどん中国企業に雇用される状況になれば、中国による対日カードとして日本人の雇用が利用されかねません。
「政治と経済は別」という考えもありますが、こと中国に関してはそうした考えは通用しないということは周知の事実です。
経営者としての合理的な判断は尊重すべきですが、一方で、やはり中国と繋がりの強い企業の影響力が強まるような経営判断には慎重であるべきでと考えます。
これからの動向を見守っていきたいと思います。