普天間基地の辺野古移設に関し、国と沖縄県がそれぞれを訴えていた裁判で、和解が成立しました。
これにより、辺野古移設工事は中断することとなり、その間に国と県が協議することになりました。
政府は、辺野古移設が唯一の解決策との認識を変えていませんが、辺野古移設のスケジュールに影響が出ることは必至です。
今回、安倍首相は、急転直下、裁判所が提示した和解案を受け入れましたが、これ以上、辺野古移設が遅れてはならない内外の事情を鑑みれば、辺野古移設を確実に実現するための目算があるのでしょうか。
万一、衆参同時もささやかれて約4か月後に迫っている夏の国政選挙を前に、国と県が対立している構図を和らげ、選挙戦を有利に展開したい思惑があるのであれば、またも民主主義の劣化と言われても仕方ありません。
折し、防衛研究所が、中国の軍事動向について「東アジア地域でアメリカ軍の存在に対する挑戦を続けた場合、既存の安全保障の秩序が一変する可能性がある」との報告をまとめました(※)が、中国軍の覇権的な拡張は誰の目から見ても明らかです。
本来、国防は国の専権事項であり、一地方自治体が左右すべき問題ではないのですから、市街地に隣接した普天間基地の危険性除去はもちろん、沖縄を含めた日本全体の国民を守るために必要な辺野古移設を、国は責任を持って遅滞なく進めるべきです。
※:3月4日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20160304/k10010431441000.html