北朝鮮は、水面下で米国に対し平和協定を結ぶための交渉を持ちかけたものの、米国が北朝鮮の非核化を議題とするように求めたため、北朝鮮がこれを拒否し交渉開始に至らなかったことが明らかになりました(※)。
北朝鮮の一連の恫喝外交の目的は、何よりも米国との直接交渉を求めているからとみられていましたが、北朝鮮にとっては米国との直接交渉よりも核保有が大切であり、核を放棄する意思がないということになります。
北朝鮮による一月の核実験を受けて、中国を含む国際社会はより強い制裁を行うことで一致しているものの、実際の制裁は、日米韓が個別に経済制裁などを行うに留まっています。
今までも国際社会は北朝鮮に対し度重なる制裁を実施してきましたが、北朝鮮の核開発を止めることはできませんでした。
そしてその北朝鮮は、既に日本を射程に収め核弾頭を搭載可能な弾道ミサイルを数百発保有しているとされ、それらが「使用されない」という保証は全く無い状況です。
対して日本の物理的な防御手段と言えば、弾道ミサイルの迎撃が可能な海自のイージス護衛艦が4隻(将来的には8隻体制)、弾道ミサイルのピンポイントの迎撃が可能なPAC-3が陸自の各高射隊に配備されているにすぎない状況です。
防衛省は、THAADやイージス・アショアなど、更なる迎撃システムの導入を検討している模様ですが、よほど濃密な迎撃態勢を整えない限り、北朝鮮の弾道ミサイルによる飽和攻撃を完全に防ぐことは不可能です。
ですから、潜水艦などに巡航ミサイルを搭載したり、導入が決まっているステルス戦闘機F-35にスタンドオフの空対地兵装を搭載したりと、自衛隊に敵地先制攻撃能力を付与する議論が出てくるわけです。
であるならば、最悪の事態を想定して、「抑止力の切り札として核兵器保有」をも真剣に考えざるを得ない段階に入ったといえなくはないでしょうか。
※:2月22日付NHKニュースhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20160222/k10010417651000.html