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2016/01/29【憲法には“信教の自由”が保障されてさえいれば】

 甘利大臣辞任のニュースで陰に隠れた感がありますが、今日は注目すべき裁判がありました。
それは、平成25年に安倍首相が靖国神社を参拝したのは政教分離を定めた憲法に反するなどとして、市民らが安倍首相や国などを相手取り損害賠償などを求めていたもので、大阪地裁は原告の訴えを退ける判決を言い渡しました(※)。

 日本の首相が、数多くの英霊が祀られている靖国神社を参拝することは、国のリーダーとして当然のことであり、今回、訴えが退けられたことは評価できます。

 しかし、今回の判決は、「(原告側に)損害賠償の対象になるような法的利益の侵害はない」として原告側の請求を棄却したもので、違憲かどうかの判断を示していません。

 裁判所が違憲かどうかの判断を示さなかったことで、「政教分離とは、政治が宗教に関わってはならないこと」という誤解が相変わらず残っているように感じます。

 改めて確認しますが、現行憲法の政教分離の規定とは、戦前戦中に政府が国家神道以外の宗教を弾圧した反省から、政治が宗教に介入することを防ぐために設けられたものです。
ですから、宗教団体が政治的活動をすることをも排除している訳ではないのです。
これは内閣法制局長官も国会の答弁で認めています。

 ここにも現行憲法の不備があるように思えます。
こうした誤解が生じるのであれば、憲法では「信教の自由」が保障されてさえいれば、政教分離の規定は必要ないのではないでしょうか。

※:1月28日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/national/20160128-OYT1T50111.html