昨年12月に南シナ海の中国の人工島付近で、中国が主張する領空を米軍の爆撃機B-52が飛行するという出来事がありました。
誰もが、10月の米軍の駆逐艦による中国が主張する領海内の航行に続く「航行の自由」作戦の一環だと思いましたが、直後にオバマ政権は、当該の爆撃機の飛行は、悪天候を避けたことによる意図しないものだったことを強調し、火消しに躍起になっていました。
しかし、その爆撃機の飛行は偶発的なものではなく、「航行の自由」作戦が駆逐艦の航行の一回限りでその後は何もしないオバマ政権に対する米軍の不満の現れで、米軍が意図的に行ったという見方を1月29日付の日本経済新聞朝刊が紹介しています。
確かに、戦術作戦もこなす戦略爆撃機B-52は、あらゆる環境下でも単機で敵地内の目標に向かって正確に侵入する能力がある機体のはずですが、そのB-52が悪天候を理由に誤って中国の人工島に接近するということが有り得るのでしょうか。
何事も100%ということは無いかもしれませんが、やはり意図的に飛行したと見るのが妥当です。
オバマ大統領はリベラルな政治姿勢で人間味を強く感じる側面がありますが、幸福実現党の釈量子党首がコラム(※)で指摘しているように「世界の大国として何とも頼りない」というのが正直な感想です。
ですから、米軍内のオバマ大統領への不満ももっともなことです。
Changeを掲げて搭乗したオバマ大統領ですが、その任期中に米国の力が相対的に低下したことにより世界各地で問題が噴出するようになった感が否めません。
残り一年を切った任期中に思い切った政策はとれないでしょうし、万一、ヒラリー・クリントン氏や、その対抗として注目が高まっている社会主義者バーニー・サンダーズ氏が、次の政権に就くようなことがあれば、日本の安全保障環境がますます厳しくなると言わざるを得ません。
※:1月29日付フジサンケイ・ビジネスアイhttp://www.sankeibiz.jp/compliance/news/160129/cpd1601290500007-n1.htm