天皇陛下は26日からフィリピンを訪問されます。
日本の天皇としては初めての公式訪問で、日比の親善と共に、先の大戦の戦没者に対する慰霊が主な目的となります。
先の大戦ではフィリピンも激戦地となり、日本人の戦死者の数は50万人以上にものぼります。
また、フィリピン人の犠牲者の数も多く、首都マニラ市などで激しい市街戦が展開されたこともあり民間人を含め100万人以上が犠牲となったと言われています(※)。
ですから、戦後当初、フィリピンの人々の対日感情は良くありませんでした。
しかし、平和条約が締結され、日本が賠償を行うと共に数多くの経済支援を行う中で、両国の人的交流も促進され、今では、フィリピンは世界有数の親日国の一つとなっています。
そのフィリピンは、1990年代に十分な防衛力を整備することなく在比米軍を撤退させるという政策的な誤りとも言えるようなことを行った結果、米軍撤退直後から、自国領としていた南シナ海の環礁を奪われるなど中国による脅威にさらされています。
現在、フィリピンは防衛力の再構築が急務となっており、米軍共に日本にも期待を寄せています。
日本は、戦後、フィリピンに対し主に経済面で貢献してきましたが、今後は、アジアのリーダー国家としてそうした期待に応えるべく安全保障面でも貢献度合いを高めていく必要があります。
日本政府は、自衛隊とフィリピン軍の間で共同訓練などを増やしていく方針ですが、もっと目に見える形でフィリピンの防衛力を高めるための支援を増やしていくべきではないでしょうか。
※:1月25日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/160125/wor1601250007-n1.html