再稼動の差し止めの仮処分を受けていた関西電力高浜原発3・4号機について、福井地裁は関西電力の異議申し立てを認め、仮処分を取り消しました。
これにより、高浜原発3・4号機は、既に原子力規制委員会の安全審査に合格し、地元の同意も得ているため、来年早々の再稼動が見込まれます。
また、同じく関西電力大飯原発3・4号機についても、福井地裁は、再稼働の差し止めを求めていた住民の申し立てを退けました。
原発の再稼動については、反対の立場の人から、とかく経済偏重との批判を受けますが、再稼動の必要性について、あまり報道されていない2つの理由があると考えます。
1つ目は、安全保障の観点です。
日本のエネルギー自給率は、急増する再生可能エネルギーを含めても5%にも及んでいません。
東日本大震災以降、日本の電力は、化石燃料による火力発電が約9割以上を占めていますが、化石燃料を輸入するルートを断たれれば、日本は立ち行かなくなるのです。
これは、国民の生命に直結する問題でもあります。
世界情勢を見てみれば、エネルギー供給は外交手段の一つになっており、歴史上、エネルギーの遮断は戦争の引き金にもなり得るのです。そうしたリスクを低減するために一定の原発は必要なのです。
2つ目は、原発事故を起こした国としての責任の観点です。
世界では、福島第一原発の事故以降も、発展途上国を中心に原発が増加しています。
世界最高水準の原発技術を持ち、事故をも経験した日本が、原発から撤退したら、原発輸出に力を入れている中国などの、日本製よりも安全性が劣るとされている原発が世界に拡散することになります。
日本は事故を経験した国として、原発からの撤退ではなく、世界最高水準の安全性を確保した原発を世界に供給する責務があるのではないでしょうか。
このように、原発は経済性だけが目当てで再稼動するのではありません。
安全性が確認された原発は、速やかに再稼働させるべきと考えます。