国際通貨基金(IMF)は、中国の人民元を特別引き出し権(SDR)を構成する通貨として認める方向で調整に入りました(※)。
SDRとして認められれば、人民元が国際通貨としてお墨付きを得たことになり、基軸通貨へ一歩近づいたと見ることもできます。
SDRは一種の仮想通貨で、通貨危機などの際にSDRを構成する他の通貨と交換することができ、外貨準備を積み増すことができます。
現在、SDRに認められているのは、米ドル、ユーロ、英ポンド、それに日本円です。
SDRに認められるには、その通貨が自由に取引できることが大前提ですが、中国との経済的な結び付きを深める欧州諸国などが、人民元の自由化を促す意味でSDR入りに積極的のようです。
しかし、どんなに人民元の国際化が進んだとして、現在の中国の政治体制が変わらない限り、中国は自身の覇権拡大や政権維持のために、通貨政策を利用する懸念を払拭することはできません。
「政治は共産主義で、経済は市場経済」というように政治と経済を切り離してうまくいくように見えても、発展の過程で限界が露呈するはずです。
中国が真の意味で市場経済を確立するのを望むのであれば、政治体制の変革を行わなければならないのではないでしょうか。
※:11月14日付読売新聞http://www.yomiuri.co.jp/economy/20151114-OYT1T50111.html?from=ycont_top_txt