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2015/09/28【安保法制の成立でも引き続き国防政策の充実が必要】

 中国が一方的に埋め立て作業を行っている南シナ海の浅瀬で、先週、本格的な滑走路が完成した模様です(※)。
滑走路の長さは、3千メートル以上あり、戦闘機や大型の早期警戒機などの離発着が可能です。

 中国は、2年前、日本の尖閣諸島を含む東シナ海上空に一方的に防空識別圏を設定し国際的に問題となりましたが、中国が領有権を主張している南シナ海上空には防空識別圏を設定していません。

 東シナ海での防空識別圏の設定は日米を牽制する政治的な意味合いも強いと思われますが、南シナ海では中国本土から遠いため、中国軍が保有する戦闘機などの航続距離が十分でなく物理的に空域のコントロールが困難という事情がありました。

 それが今回の滑走路の完成で、中国による防空識別圏の設定が現実味を帯びてきました。
南シナ海では、周辺国がそれぞれ領有権を主張していますが、中国による滑走路の完成で、この地域での中国軍の航空戦力が抜きん出る可能性があります。

 オバマ大統領は、訪米中の習近平主席に南シナ海の問題での懸念を伝えたとのことですが、中国はこの問題で一歩も譲る気配がありません。
中国は、永遠に覇権を唱えず、平和的な発展を目指すとしていますが、言動が一致していないことが分かります。

 南シナ海は、日本の重要なシーレーンでもあります。
こうした国政情勢の変化を見るにつけても、先の安保法制の成立は必要なものであることが分かりますが、様々な制限がある今回の安保法制では日本の安全保障にとってはまだまだ十分なものではありません。

 安倍首相は、今回の安保法制の成立で、今後は経済政策に力を入れることで支持率の回復を図る思惑のようですが、引き続き国防政策の充実を図っていかなければ、日本の平和と発展を守ることはできないのではないでしょうか。

※:9月26日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/150926/wor1509260073-n1.html