ドイツの自動車企業であるフォルクスワーゲンが、排出ガスの規制を不正に逃れていたことが発覚し問題となっています。
問題となっているのは、同社が製造する自動車に搭載されている一部のディーゼルエンジンで、不正なプログラムにより排出ガスの試験時だけ規制値をクリアしていたとされ、該当する車種は約1,100万台にものぼると見られています。
フォルクスワーゲンとトヨタは世界規模で熾烈なシャア争いを演じており、一時販売台数で世界一だったトヨタを抜いて、現在はフォルクスワーゲンが世界一とされます。
トヨタはハイブリットカーに力を入れているのに対し、フォルクスワーゲンは小排気量のガソリンエンジンやディーゼルエンジンにターボなどの過給機を組み合わせた自動車に力を入れてきました。
ハイブリットカーは市街地での燃費性能に優れるなど様々なメリットがある反面、システムが複雑で高コストという欠点があります。
一方、ディーゼルエンジンは、かつて「汚く・遅く・うるさい」というイメージがありましたが、技術革新によりこれらの欠点を克服し、ヨーロッパを中心に販売台数の約半分を占めるまでになっています。
今回、大手メーカーであるフォルクスワーゲンの不正が発覚したことで、ディーゼルエンジンの開発は一筋縄ではいかないことが明らかになりました。
疑いの目は、他のメーカーのディーゼルエンジンにも向けられており、ディーゼルエンジンに対するイメージが再び低下する恐れがあります。
その意味で、ハイブリットカーに注力してきたトヨタの戦略は正しかったと言えるかもしれません。
熾烈な競争下にある工業製品あるとはいえ、日本企業には法令順守を徹底しつつ、ハイブリットカーのように業界で新機軸を打ち出すことで、世界をリードする姿勢を貫いていただきたいと思います。