台湾の馬英九総統は、中国系米国人アイリス・チャン氏の著者『ザ・レイプ・オブ・南京』を、「中華民国による抗日の史実の重要文献だ」として評価しました(※1)。
馬総統は国民党に属しており、その国民党は、中国大陸で旧日本軍と戦った中華民国が、日中戦争後の国共内戦で中国共産党に敗れて台湾に逃れた後に結成された政治組織です。
李登輝元総統など、もともと日本と関係の深い政治家が多い国民党なのですが、馬総統はこのところ反日的な言動が目立ちます。
その背景には、年1月の台湾総統選で自身の国民党候補者の劣勢が伝えられる中で、国民党の歴史的な正当性をアピールする狙いがあるからでしょうか。
前出の『ザ・レイプ・オブ・南京』は、掲載されている写真の全てに誤りが指摘されるなど、明らかな間違いや誤認が数多いことが分かっており、中国などが政治的な意図を持ってチャン氏に書かせた疑いが持たれている書籍です(※2)。
馬総統が、そうした書籍を持ち上げるということは、中国共産党の歴史捏造プロパガンダに同調することにつながります。
台湾の歴史を振り返れば、中国本土が台湾を実質的に統治したことは一度もない一方で、日本が台湾を統治した間に台湾がどれほど発展したのか少しでも思い起こしてみてはどうでしょうか。
歴史問題で中国共産党と共通認識を示すなどして中国との関係を強化すればするほど台湾の自由や独立が脅かされることになります。
翻って日本も、台湾が中国に飲み込まれるような選択をしなければならないような状況に陥らないよう、旧宗主国として、台湾に対しもっと積極的に手を差し伸べるべきではないでしょうか。
※1:8月25日付産経新聞http://www.sankei.com/world/news/150825/wor1508250024-n1.html
※2:大川隆法著『天に誓って「南京大虐殺」はあったのか』幸福の科学出版http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1183