9月に中国で行われる抗日70周年の軍事パレードは、かつてないほどの規模で行われる模様です。
パレードに参加する兵器の多くが最新のもので、その8割以上が初公開なる予定です(※)。
中国の最新兵器の中で、特に注目されているものの一つに「東風21D」と言われる対艦弾道弾があります。
「対艦弾道弾」は兵器の種別としては今までに無かったもので、中国が世界で初めて実用化したと見られています。
「東風21D」は、中国が開発した陸上目標攻撃用の中距離弾道弾「東風21」を改良したもので、艦船など海上の目標を、核弾頭だけでなく通常弾頭によっても攻撃可能としています。
一般に、弾道弾は最大飛行速度がマッハ10程度と非常に高速であるため迎撃が極めて困難です。
そのため、米空母機動部隊をはじめ、東アジアで活動する日米の艦艇にとって大きな脅威となります。
もちろん、弾道弾の迎撃には日米のイージス艦搭載のSM3が有効と見られていますが、防御側の対処能力を上回る数で一斉に攻撃する「飽和攻撃」が行われた場合など、損害を被る可能性があります。
特に、米空母が一隻でも損害を受けた場合、心理面を含めた米国のダメージは大きく、米国の戦略や戦術に与える影響も大きくなるでしょう。
ただし、海上の艦船は刻一刻と位置を変えるため、高速で飛行する弾道弾が正確に目標を捉え続けることができるのか技術面で懐疑的な見方もあります。
それでもこうした兵器を中国が保有していることを誇示することで、日米を牽制することができます。中国は、パレードの目的を「新型兵器装備が閲兵を受けることで、世界平和を維持し、国家主権や安全、発展の利益を守り抜くという決意と能力を体現することだ」としていますが、要するに「圧倒的な軍事力により、他国に有無を言わさずに自らの権益の拡大を図る」という意思を示しているということではないでしょうか。
こうしたことからも、日本の安全にとって防衛力の強化や日米同盟の強化がますます重要となっていることがわかります。
※:8月21日付日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM21H7Y_R20C15A8FF2000/