安保法制の必要性を説く際に中国の軍事的脅威の増大があげられますが、安保法制に反対する立場の人からは、国際社会からの批判を考えれば、中国が現実に戦争を仕掛けられるはずがないとの声が聞かれます。
しかし、それは楽観的な観測ではないでしょうか。
確かに、中国が隣国に対して軍事行動を起こせば、軍事的なリスクのみならず、経済的なリスクもあるため、中国にとってもデメリットが大きいかもしれません。
ですが、中国共産党は、政権を失うような危機に接した際に、戦争を起こすことでその危機を脱することができるのであれば、戦争を起こすことも躊躇しないと考えておくべきではないでしょうか。
近ごろ、中国経済の減速が顕著になっており、官製バブルとも言われる中国経済の崩壊が起こり、国民の怒りの矛先が中国共産党に向かえば、その矛先を逸らすために外国との軍事的な対立を醸成することも考えられます。
また、中国は、10年以上にも渡って軍事費を毎年10%もの高い伸び率で増強し、今では世界第二位の軍事大国となりましたが、その軍事的な投資を回収するために、経済的な利益を得る目的で軍事行動を起こすことも十分考えられます。
いずれにせよ日本の為政者は、「中国は戦争を起こせない」と考えるのではなく、「中国はいつでも戦争を起こす用意がある」という前提で政策を実行しなければ、日本は国益を失うどころか、亡国の危機を迎える可能さえあることを理解すべきではないでしょうか。