国土の狭い日本では、自衛隊や米軍の基地はどうしても人口密集地に隣接せざるを得ない場合が多く、航空機による騒音が問題となってきました。
その騒音の対策として、離発着の時間や回数の制限、近隣住宅などの防音改修、飛行ルートの限定などが行われてきましたが、抜本的な解決にはなっていません。
そこで軍用機の低騒音化ということが考えられますが、ヘリコプターのように低空を比較的低速で飛ぶ航空機は、急襲など作戦上有益なこともあるため低騒音化が考慮されることも一部あるものの、戦闘機などは、本来求められる戦闘能力が削がれてしまっては本末転倒なので、あまり低騒音化は考慮されてきませんでした。
輸送機などでは、コスト的な観点などから、騒音規制が厳しい民間機と同じエンジンを装備することが多いようですが、戦闘機のエンジンは、如何に小型小径で大パワーを発生させるかということに力点が置かれており、耐久性や整備性、燃費などに比べて低騒音化は優先順位が高くありませんでした。
現在、日本では、F-2戦闘機の後継を目指して国産のステルス戦闘機の開発を検討していますが、悲願である戦闘機用エンジンの国産化にも目途が付いたと言われています。
この国産戦闘機の開発に間に合うか難しいと思いますが、第5世代と言われる他国の最新戦闘機に劣らない戦闘力を有しつつ、少なくとも通常の離発着時に、画期的に低騒音な機体を目指すことを検討してみてはどうでしょうか。
そうした技術が確立されれば、戦闘機部隊の運用の柔軟性が高まりますし、輸出の際の強みになる場合があるかもしれません。
また、旅客機など民間機の一層の低騒音化にも貢献できるかもしれません。